家庭用エアコンの新たな省エネ基準について
経済産業省が2022年5月31日に、家庭用エアコンディショナーについて、新たな基準エネルギー消費効率(省エネ基準)等を定めた告示を公布しています。
変更点としては
1.省エネ目標基準値の引き上げ
2.寸法区分の廃止
3.寒冷地区分の新設
となっています。
1. 省エネ目標基準値の引き上げ
新たな省エネ目標の基準値に関しては下記の表のとおりです。
省エネ基準
代表的な家庭用エアコンディショナーの次期省エネ基準は以下の表(注3)のとおり。次期省エネ基準については、現行の省エネ基準と比較し、最大で34.7%(壁掛形4.0kW)の改善を見込む。
ユニットの 形態 | 冷房能力 | 現行の省エネ基準 (APF) | 次期省エネ 基準 (APF) | 改善率(注4) (%) |
壁掛形 | 2.2kW | 5.8 | 6.6 | 13.8% |
2.5kW | 5.8 | 6.6 | 13.8% | |
2.8kW | 5.8 | 6.6 | 13.8% | |
3.2kW | 5.8 | 6.6 | 13.8% | |
4.0kW | 4.9 | 6.6 | 34.7% | |
4.5kW | 5.5 | 6.5 | 18.2% | |
5.0kW | 5.5 | 6.4 | 16.4% | |
5.6kW | 5.0 | 6.3 | 26.0% | |
6.3kW | 5.0 | 6.1 | 22.0% | |
7.1kW | 4.5 | 5.9 | 31.1% | |
8.0kW | 4.5 | 5.7 | 26.7% | |
9.0kW | 4.5 | 5.5 | 22.2% | |
10.0kW | 4.5 | 5.3 | 17.8% |
(注3) 表は、出荷台数の多い壁掛形の一般地仕様のエアコンディショナーについて、冷房能力毎の省エネ基準を示したもの。次期省エネ基準の詳細については関連資料の新旧対照表及び関連リンクの報告書を参照。
(注4) 現行の省エネ基準に対する次期省エネ基準の改善率。現行の省エネ基準については寸法規定の省エネ基準を用いて算出。
経済産業省サイトより
次期省エネ基準としてAPF(通年エネルギー消費効率)の数値を改定しました。
APFとは「Annual Performance Factor」の略で「通年エネルギー消費効率」を表します。
「通年エネルギー消費効率」とは、JIS C9612に基づいて、
ある一定の条件の元でエアコンを運転した時の消費電力1キロワット当たりの冷房・暖房の能力を表わしたものです。
APF = 1年間で必要な冷暖房能力の総和 ÷ 期間消費電力
上記の計算式で算出しており、この値が大きいほど省エネ能力が高いエアコンということになります。
< 参考 >
省エネ能力を表す「APF」の値からみるエアコンの比較
2. 寸法区分の廃止
これまで室内機の寸法で分類されていましたが、
寸法規定(室内機の横幅800mm以下かつ高さ295mm以下の機種)の方が、
寸法フリー(寸法規定以外の機種)よりも省エネ基準の目標値が低いため
多くの企業が目標値の低い寸法フリーでの開発主体となったため
区分に関する意味合いを考慮し廃止しています。
日経XTECK
3. 寒冷地区分の新設
寒冷地では積雪や低温に起因する故障防止の設計や、
暖房極低温状態(-7℃)などの仕様が必要となっているため
省エネ性能が下がるので、新たに区分を設けています。
日経XTECK
目標年度は、壁掛形は2027年度、壁掛形以外とマルチタイプに関しては2029年度としています。
2027年度以降、基準達成を求める勧告や命令にメーカーが従わない場合は経産省が社名を公表したり、罰金を科したりできるとのこと。
これによりメーカー各社が新機種への反映動向が気になるところです。